この 2 年で 50 回くらいオンラインセミナーを実施(発表)したので、そのナレッジをまとめました。
以下の観点で書いていきます。
- ツールの準備
- 申し込みページの準備
- リハーサル
- 開催前日まで
- 当日、開催直前
- 開始時
- 終了時
- 終了後
- その他
ツールの準備
まず、各種ツールの準備についてです。
ウェビナーツール (Zoom ウェビナーなど)
オンラインセミナーを開催するのであれば、そのためのツールが必要になります。
私は主に Zoom ウェビナーを使っていますが、他のものでも良いので、以下のような点を考慮して決めましょう。
- 参加者のカメラ・マイクを主催者側で OFF にしたりしやすいか
- 自動でレコーディング可能か
Zoom ミーティングなどで開催するケースもありますが、知り合いベースの会でない限りは、参加者は基本的にマイク・カメラ OFF にしてしまったほうが良いです。
特に参加者のマイクが ON になっていると、背後の雑音などで発表が聞きにくくなることが少なくありません。
参加者のカメラ・マイクを OFF にするといった管理がしやすいよう、ウェビナーに適したツールを使ったほうが望ましいです。
Q&A
Zoom ウェビナーには Q&A 機能がありますが、そういった機能のないツールを使う場合は、あらかじめ選んで試しておきましょう。
ミーティングツールやライブ配信サービスのチャットで代用することもできなくはないですが、チャットは流れてしまうため、見逃しが発生しやすいです。
できれば Q&A 用のツール・機能を使いましょう。
レコーディングデータの保存先
レコーディングしたデータはどこかに保存しておきましょう。
Google Drive などで良いと思います。
Web カメラ
参加者はカメラ OFF のほうが望ましいですが、発表者はカメラがあったほうが良いです。
スライドを映して話すとしても、少しでも顔が見える時間があったほうが、雰囲気が良いと感じてもらえる場合があります。
PC に付属のカメラでも大丈夫ですが、もし PC にカメラが付いていない場合は用意しましょう。
マイク
オンライン会議・オンラインセミナーにおいて、音質が悪いことは参加者に非常にストレスになります。
「音質はオンラインでのマナーのようなもの」といった言葉を見かけたことがあるのですが、私もその通りだと思います。
PC に付属のマイクでは音質が不十分なこともあるので、マイクは購入することをおすすめします。
ちなみに私は以下の 2000 円程度ピンマイクを使っていますが、このくらい安価なものでも十分です。
故障に備えて予備も常備しています。
有線 LAN
ネットワークは有線にしておいたほうが良いです。
最近は無線でも問題ないケースが多いとは思いますが、やはり有線のほうが安定します。
音質と同様、ネットワークの質は参加者のストレスに大きく関係してくるので、多少手間でもできるだけ対応しておきましょう。
申し込みページの準備
次に、申し込みページの準備についてです。
対象者・前提知識
これはオンラインに限らない話ですが、対象者と前提知識を明確にして、明記しましょう。
セミナーで満足度が高いかに関わる大きな要素の 1 つは、対象者と内容がどれだけフィットしているかです。
講座内容の作成とも大きく関係しますが、対象者と前提知識はとにかく明確にしましょう。
そして、必ず申し込みページに記載しましょう。
事前アンケート
これはオプショナルではありますが、申し込みフォームなどにちょっとしたアンケートを設けても良いです。
その場合、講座でどんな内容が聞きたいかを質問項目にしましょう。
あまりに質問項目が多いと回答時に離脱したくなるので、質問は最小限にしましょう。
メールアドレスの入力に注意
Zoom ウェビナーなどを開催する場合、申し込みフォームにメールアドレスを入力してもらい、メールで参加 URL を案内するケースがあります。
その場合、申し込みフォームに入力されたメールアドレスに入力ミスの可能性があることに注意しましょう。
こういった申し込みフォームでは、メールを 1 度飛ばしてクリックさせる本人確認までは実施しないことが多いです。
申し込み後、メールを確認してもらうよう画面に表示するなどして、確実にメールが届くようにしましょう。
リハーサル
次はリハーサルについてです。
リハーサルを実施する
まず、リハーサルは実施しましょう。
特に初めて実施する形式の場合などは必須です。
発表自体には慣れているとしても、講座の始まりと終わりの練習はしましょう。
リハーサルを実施していない場合、そのことは参加者として見るとかなり分かりやすいです。
しっかりしたセミナーである雰囲気を出すためには、リハーサルは必須です。
知り合いベースで一度開催する
オンラインセミナー自体初めての場合は、知り合いベースで一度クローズドに実施するのもおすすめです。
というのも、オンラインセミナーが初めての場合、声が聞こえているのかなどかなり不安になります。
参加者の顔が見えない中で話すイメージをつかんでおくためにも、一度知り合いと開催しておくと良いです。
デモンストレーションの確認
デモンストレーションを実施する場合は、できるだけ同じ手順を試しておきましょう。
練習と本番で少し手順を変えるだけでエラーになるといったことはよくあります。
場合によっては EC2 などのクラウド環境を活用して、サーバがきれいな状態からデモンストレーションが一通り可能か試しておきましょう。
デモ用のコードもバージョン管理したりデイリービルドを組んだりすると、再現性が担保できるようにもなっていきます。
開催前日まで
次に開催前日くらいまでにやっておきたい準備についてです。
発表資料の公開
発表資料を公開する場合、Speaker Deck などには事前にアップロードしておきましょう。
そういったサービスにアップロードすると資料が崩れるケースもあります。
当日ぎりぎりではなく、前日までにはアップロードを試しておきましょう。
参考: Google スライドを PDF 化すると日本語がかすれる問題に完全勝利する方法
ソースコードの公開
発表にデモンストレーションがある場合、ソースコードを共有してほしいと言われることが多いです。
公開する場合は、あらかじめ対応しておきましょう。
事後アンケート作成
開催後、満足度などを把握するにはアンケートが必須です。
Google Form などでアンケートを作成しておきましょう。
ちなみに細かい Tips ですが、満足度を 5 段階で入力してもらう場合は、「1 が非常に不満」・「5 が非常に満足」にしたほうが良いです。 これを逆にすると、間違って逆の選択肢を選ばれることがかなり増えます。
当日、開催直前
続いて、当日の開催直前についてです。
PC・ルーター再起動
PC・ルーターを、できれば再起動しておきましょう。
何か問題が起こる可能性を少しでも減らしたいためです。
各種履歴削除
機密情報が映ったりしないよう、
- エディタ・IDE
- ターミナル
- ブラウザ
の履歴を削除しておきましょう。
GitHub に注意
機密情報を映さないという観点では、GitHub にも注意が必要です。
自分のページにアクセスすると、参加している組織や、private リポジトリの名前・Issue などが見えてしまいます。
そのページにはアクセスしないか、シークレットウィンドウを使いましょう。
ブラウザのブックマークに注意
ブラウザのブックマークにも注意が必要です。
ブックマークバーは非表示かつ、できれば新しいタブを開いたときも表示されないようにフォルダに全て入れておいたりしましょう。
また、Chrome の場合しか分かりませんが、Chrome では、アドレスバーに検索したい文字列を入力した際、その文字列をタイトルに含むブックマークが表示されます。
ブックマークに機密情報がある場合は注意してください。
なお、これはシークレットウィンドウでも防げません。 (もしかすると、これを表示しない設定があるかもしれません)
ターミナル・エディタの文字サイズ変更
デモンストレーションなどでターミナルやエディタを使う場合、文字サイズは大きめにしたり、簡単に変更できるようにしておきましょう。
PC のメール・Slack・LINE などの通知を OFF にする
メールや Slack・LINE など、PC 上に通知が表示されるものは、通知を切っておきましょう。
通知音も鳴らないようにしておきましょう。
スマホをサイレントモードにする
通知を切るのと一緒に、スマホもサイレントモードまたは電源 OFF にしておきましょう。
運営側でマイクチェック
運営側で、音声がしっかり入っているかチェックしておきましょう。
入室可能にするタイミングでは、タイトルスライドだけ表示
オンラインセミナーでプロっぽさを出すには、入室可能にするタイミングで、
- 発表者のカメラ・マイク OFF
- タイトルのスライドが画面共有されている
というのが良いです。
スライドにはタイトルと一緒に「HH:mm 開始です。時間までしばらくお待ちください」といったメッセージも入れておきましょう。
開始時
次は、オンラインセミナー開始時についてです。
音声チェック
時間になったらカメラ・マイクを ON にして、開始しましょう。
そのタイミングで、音声が聞こえているか確認するのがおすすめです。
私は Zoom ウェビナーであれば「手を挙げる」といったボタンがあるので、そちらで反応をもらいます。
ご案内事項について
本題に入る前に、諸注意などのご案内事項を説明しましょう。
内容としては、
- 質疑の仕方
- 資料の URL 共有
- 録画・画面キャプチャの可否
あたりになります。
質疑については、終了後にまとめてよりも、適宜いただいて回答するほうが個人的には好みです。
自己紹介
ご案内事項の話が終わったら、自己紹介をしましょう。
あとは講座内容を進めていきます。
終了時
事後アンケート
講座終了時には、アンケートへの回答をお願いしましょう。
退室後だとアンケートに回答してもらえる比率は下がるので、退室する前に回答してもらいましょう。
多くの場合、講座の最後に質疑の時間をとると思いますが、アンケートはその前にお渡しして、「アンケート + 質疑の時間」のようにするのがおすすめです。
これらの講座開始時・終了時の流れは、あらかじめスライドにしておきましょう。
終了後
最後に、講座終了後にすることです。
アンケート結果を見てみる
アンケートはとったら終わりではなく、しっかり結果を確認しましょう。
その内容を踏まえて、次回の講座を改善しましょう。
記事を書いたりする
記事にして良い講座であれば、実績として残るよう、開催したことを記事にしたりしましょう。
その他
チェックリストを作る
ここまで色々な項目を出してきましたが、これを漏れなく実施するにはチェックリストが必要です。
自分なりに使いやすいチェックリストを作って、適宜改善していきましょう。
ホワイトボードを使ってみる
個人的に、ホワイトボードを使った講座をよく開催します。
スライドより好評なケースもあるので、興味があれば活用してみてください。
おわりに
以上、50 回くらいオンラインセミナーを実施した上で、そのナレッジをまとめてみました。
最近は YouTube などのライブ配信もどんどん浸透してきていますが、オンラインセミナーに通じる部分があるように感じます。
ライブ配信系のナレッジも調べたりしてみると、もっと色々工夫できるかもしれません。