会話をしていて、「存在しないことの証明は(悪魔の証明だから)難しい」という表現を聞くことがあります。
私は「存在しないことの証明は難しいとは限らない」と考えているので、その考えをまとめておきます。
「存在しないことの証明は(悪魔の証明だから)難しい」とは?
「存在しないことの証明は(悪魔の証明だから)難しい」とよく言われます。
例えば「宇宙人が存在しないことを証明しろ」というのは難しいですね。 宇宙を端から端まで調べない限り証明できないからです。
このように、存在しないことを証明するのは、端から端まで調べる必要があるから難しい、と言われることがあります。 それを「悪魔の証明」と呼ぶのもよく聞きます。
しかし、存在しないことを証明するのは、必ずしも難しくないのです。
ないことの証明ができる例
たとえば、中学生・高校生レベルの数学で、「◯◯が存在しないことを証明せよ」という問題は定番ですね。 「10の倍数に奇数がないことを証明せよ」と言われたら、簡単に証明できます。
また、私はITエンジニアですが、コンピュータの領域でも存在しないことを証明されているものはたくさんあります。 有名な例としては「停止性問題」があり、「あらゆるアルゴリズムが有限時間で停止するか判定できるアルゴリズムは存在しない」ことが証明されています。
このように、数学や科学の文脈では、存在しないことの証明は必ずしも難しくないのです。
(もちろん、存在しないことを証明するのが難しい場合もあります。たとえば「四色問題」が挙げられるでしょう)
そもそも「悪魔の証明」とは?
そもそも「悪魔の証明」とはなんなのでしょうか?
Wikipedia には、以下のように書かれています。
悪魔の証明(あくまのしょうめい、ラテン語:probatio diabolica、英語:devil’s proof)とは、証明することが不可能か非常に困難な事象を悪魔に例えたものをいう。中世ヨーロッパのローマ法の下での法学者らが、土地や物品等の所有権が誰に帰属するのか過去に遡って証明することの困難さを、比喩的に表現した言葉が由来である。
引用元: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%82%AA%E9%AD%94%E3%81%AE%E8%A8%BC%E6%98%8E
一言で言えば、法的な争いでの証明の話(とくに権利の証明の話)なんですね。
「悪魔の証明」というのは、決して数学的・科学的に認められた法則ではないのです。
まとめ
ということで、私は “数学や科学の話で「存在しないことの証明は(悪魔の証明だから)難しい」と言うのはやめよう” という意見を持っています。