2023 年ももう終わろうとしています。
この 1 年、私が身のまわりで感じた IT トレンドについてまとめようと思います。
機械学習関連とその他、という大きく 2 種類でまとめていきます。
関連
- 2022 年: 【2022 年末】自分のまわりで感じる IT トレンドの 13 のテーマ
- 2021 年: 【2021 年末】自分のまわりで感じる IT トレンドの 8 のテーマ
- 2020 年: 【2020 年末】自分のまわりで感じる IT トレンドの 18 のテーマ
機械学習関連
LLM
まず誰の目にも明らかなように、今年は LLM がトレンドでした。 2022 年 11 月末の ChatGPT の公開以来、この 1 年は ChatGPT がほぼ全てだったと言っても過言ではないでしょう。
3 月に公開された GPT-4 にふれたときは、「もう人間の仕事なんてすぐなくなるじゃん」と絶望しました。
API も使えるようになってからは、各社で LLM を使ったアプリケーション開発が流行しました。 ローカル LLM に対する LoRA などの PEFT もよく目にするようになりました。
LangChain
LLM を使ったアプリケーション開発が盛り上がり、その分野では LangChain が圧倒的にトレンドを持っていったと言えると思います。
よく言われるように Production で使うかは要検討ではありますが、非常に面白いフレームワークです。
LLM を使ったアプリケーション開発を学びたい方は、まず LangChain の基本機能をさわるのがおすすめです。 是非『ChatGPT/LangChainによるチャットシステム構築[実践]入門』を手に取ってください。
AITuber
LLM の流行にともない「AITuber」という新しい言葉が生まれました。 個人的に関心があり、比較的早くから見ていたのですが、2 月にとある有名 AITuber の歌を聴いたときは、「自分はすごい時代に生きているんだな…」と感動しました。
AITuber と多少関連して思い当たったものとして、「ずんだもん」もとても流行っていますね。
RAG (Retrieval Augmented Generation)
LLM に独自文書をもとに回答させる「RAG」という手法も非常にトレンドになっています。
「LLM を使って我社も何かしなくては!」というところから、「社内文書に基づいて答えてくれるチャットボットが作れるらしい!ちょうどよいテーマでは?」という流れで流行っているのではないかと思います。
個人的な想像ですが、
- RAG は実際にやってみるとかなり難しい
- 「社内文書に基づいて答えてくれるチャットボット」は、金銭的なメリットが分かりにくい
- 汎用的な機能は OpenAI や Azure、AWS などが提供してくる
といった理由から、徐々に流行が落ち着いてくるのではないかと思います。
AI エージェント
LLM の応用として「AI エージェント」も盛り上がっています。 「Generative Agents」や「ChatDev」など、たくさんの AI エージェントが話題となりました。
まだ実用的なレベルまで達していない印象はありますが、これからさらに盛り上がる可能性は高いと思います。
マルチモーダル
OpenAI の GPT-4V や Google の Gemini など、マルチモーダルな AI も大きなトレンドでした。
AGI (汎用人工知能) という言葉もよく目にするようになりました。 ちなみに「GPT-4 は AGI の初期のバージョンだ」と言われることがありますが、私も LLM は汎用性をある程度獲得しているため、近いことを考えていたりします。
ほかにも、リアルタイムで動作する高性能なボイスチェンジャー「RVC」や、音楽生成 AI の「Suno AI」なども大きな話題となり、まさに AI が話題の中心となる 1 年でした。
その他
Worldcoin
LLM の流行とある程度関係しますが、Worldcoin も話題となっていました。
個人的に、自分が生きている間に人類の仕事がなくなる可能性が結構あると思っているのですが、そのときの金銭的な問題を解決するアイデアとして非常に面白いと思います。
特化型のクラウドプラットフォーム
ここ数年、AWS や Azure、GCP といった大きなクラウドプロバイダではない、特化型のクラウドプラットフォームが話題となっています。
- Cloudflare (単なる CDN としてではなく、アプリケーションの実行環境として)
- Momento
- Supabase
などなど、特化した分野について、非常に良い UX で使えるサービスが増えています。
事例などもかなり増えてきており、個人開発であればもちろん、企業での導入事例も増えていきそうです。
App Router・React Server Components
最後に、自分はほぼふれていませんが、Next.js の App Router という機能や、React Server Components はかなり話題になっていると思います。
徐々に React (Next.js) 一択という状況でもなくなってきているようにも感じます。
総括
以上、2023 年に自分のまわりで感じた IT トレンドについて書きました。
今年はどうしても LLM 中心の 1 年でした。
LLM といっても応用・発展の方向性はいろいろありえるので、来年はまた新しい話題が出てくるかもしれません。